自閉スペクトラム症の「二次的な問題(二次障害)」を防ぐ

自閉スペクトラム症の「二次的な問題(二次障害)」を防ぐ

自閉スペクトラム症の一次的な問題は、こだわりが強く、人付き合いが苦手で空気を読んで周囲に合わせることが難しいという特性から生じる生活上の問題です。療育などの丁寧な教育的支援によってこれらの問題を軽減することが可能です。

一方、二次的な問題(二次障害)は本人が受ける過剰なストレスやトラウマが引き金となって生じます。自閉スペクトラム症の特性があることによって、保護者や教師から過剰に叱られ続ける、同世代の子どもたちから仲間はずれになる、からかわれる、学校の勉強についていけなくなるなど、生活の中で失敗や挫折を味わうリスクが高くなります。「一生懸命やっているのにうまくいかない」「わたしはダメな子なんだ」と自信を失い、身体症状(頭痛、腹痛、食欲不振、チックなど)や精神症状(不安、うつ、緊張、興奮しやすさなど)を生じ、不登校やひきこもり、暴言・暴力、自傷行為などに発展する可能性があります。このような二次的な問題が起きると、周囲から否定的な目でみられて理解を得ることがますます難しくなり、一層ストレスが増大するという悪循環に陥りかねません。

自閉スペクトラム症への対応で最も大切なことは、できるだけ早く子どもの特性に気づいて理解・支援し、ストレスを感じにくい生活習慣や環境を整えて、二次的な問題を最小限にとどめることにあります。気になる症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診するなどの対応が必要になります。

できるだけ早く子どもの特性に気づいて理解・支援し、ストレスを感じにくい生活習慣や環境を整えて、二次的な問題を最小限にとどめる