さまざまな支援

学校での合理的配慮と特別支援教育

自閉スペクトラム症の子どもは得意なことや苦手なことが一人ひとり違います。知的な発達に遅れがある子もいれば、情緒が不安定な子や別の障害を持っている子もいます。自閉スペクトラム症の子どもが充実した学校生活を送るためには、「合理的配慮」や「特別支援教育」を受けるとよいでしょう。

通常の学級での授業が適している子どもでは、一人ひとりの障害の程度や教育的ニーズに応じて「合理的配慮」を受けることができます。たとえば、個別の学習支援員を配置したり、気持ちが落ち着かないときに使用できる小部屋を設置したり、目で見て理解できるような情報提供をしたり、聴覚過敏のある子どもに対してイヤーマフの使用を認めたりといった配慮が可能な範囲で提供されます。

より個別性の高い授業を受けるのが適している子どもを対象として、通常の学級のほかに「特別支援学級」「通級指導教室」「特別支援学校」などがあります。個々の生徒の学習ペースに合わせて教科学習の進め方を調整したり、自閉スペクトラム症特有の対人関係やコミュニケーションの特性に応じてソーシャルスキルを身につけるための授業を少人数で行ったり、専門性の高い配慮が可能です。

就学先を選択する際には本人の希望を尊重しながら、その学校は本人が安心して学べるか、サポート体制は整っているかについて、十分に検討する必要があります。子どもが通う保育園・幼稚園の先生ともしっかり話し合い、必要に応じて支援に関する情報の引き継ぎを行ってもらいましょう。各自治体では就学に不安がある家庭を対象とした「就学相談」を行っています。子どもが年長児になったら、なるべく早目に就学先の検討を始めましょう。

また、学習、不登校、いじめなどの問題については、各都道府県や政令指定都市に設置された「総合教育センター」や「特別支援教育センター」でも相談することができます。

学校・学級の種類
通常学級 一般的な学級で、1クラスの人数は40名以下で編成されています。支援が必要な子どもに介助員や学習支援員がつきます(地域によって異なります)。
特別支援学級 特別な支援を必要とする子どものための学級で、通常の小学校内に設置されています。通常学級より1クラスの人数が少なく(原則的に8名以下)、一人ひとりの課題に合った教育を受けることができます。
特別支援学校 視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱・知的障害のある子どものための学校です。通常学級と同様の教科に加え、子どもの自立に向けた指導を行う授業があり、一人ひとりの特性に応じた支援が提供されます。ただし、学校数が少なく、家の近くにない場合には通学に時間がかかります。
通級指導教室 普段は通常学級で学びながら、週1~2回程度、通級指導教室に通って、自分の課題に合った授業を受けることができます。通級指導教室は子どもが通っている学校に設置されている場合(自校通級)と、近隣の学校に設置されている場合(他校通級)があります。

就学後に学校の特別支援教育についてわからないことや不安があれば、担任の先生特別支援教育コーディネーターに相談することができます。特別支援コーディネーターは現在、ほぼすべての小中高校に配置されており、特別支援教育に関する学校の相談窓口として保護者からの相談に応じてくれます。