01
認知症の方の気持ちを理解するために、心を落ち着かせましょう
認知症の困りごととして、温めてはいけないものを誤って温めて電子レンジ壊してしまう、ということが起こる場合があります。これは、認知症によって状況に応じた適切な判断が難しくなっているためです。そして、認知症であることを受け入れられずに、自分が壊したのではなく、他の人を責めるという行動に発展する場合があります。このようなとき、介護する方はつらく悲しい気持ちになり、「あなたが壊したんでしょ!」「悪いのは自分でしょ!」と感情的に責めたくなるかもしれません。 このような気持ちは、介護を続ける中で当然の感情として生まれるものですが、認知症の方、介護する方双方の心に傷を負わせるだけで症状の改善にはつながりません。認知症の方にとってご自身に向けられた感情的な言動は好ましくない記憶として強く残る傾向があり、両者の関係にとってマイナスになります。大切なのは認知症の方と向き合うことであり、そのためには、介護する方自身が心を落ち着かせる必要があります。深呼吸をするなど、まずは心を落ち着かせる工夫をしてみてはいかがでしょうか。
02
否定せずに、認知症の方の気持ちをいったん受け入れましょう
攻撃的な言葉を投げかけられたとき、認知症の方を否定するのは極力避けましょう。認知症の方はさまざまな不安や苦しみを感じているため、否定されることでその不安が強まる可能性があります。認知症の方の言葉に寄り添い、その方が感じていることを受け止めることが大切です。たとえば、「電子レンジ、使えなくなっちゃったね。次に使うときは教えてね」と優しく話しかけ、電子レンジを使用する際は家族が見守るようにするとよいでしょう。一方、「次からは、金属がついているものは温めないで」など、誤った行動を正すよう説得(説明)すると、認知症の方は否定されていると感じることがあるので注意が必要です。
ただし、ここに挙げた出来事は一例に過ぎず、その理由や対処方法は一様ではありません。ご本人の状況や気持ちを受け止め、それに応じた個別の対応をとることが大切です。
03
優しく接することができない、対応が難しいと感じたら周りのサポートも受けましょう
攻撃的な言葉に対しては、言葉に潜む気持ちを受け止めることが大切ですが、行き場のない怒りやいらだちを感じることもあるかと思います。大切な家族の介護を続ける中では、認知症の方の気持ちに寄り添い、常に優しく接し続けることは容易ではありません。優しく接することができない、対応が難しいと感じたら、落ち着くまでいったんその場を離れて見守ることも検討しましょう。その際は、「ちょっと用事があるので少し離れるね」と声をかけたり、別の家族に対応をお願いしてから離れるなどの配慮が必要です。また、家族会、デイサービスや訪問介護などの地域の支援、主治医やケアマネージャーなどの専門家を含む周りのサポートを受けることも重要です。
こちらにご紹介した症状および対処法は一例であり、すべての認知症の方に当てはまるわけではありません。個別の状況に応じた対処法は異なりますので、このような症状でお困りの方は、ぜひ主治医に相談してください。
主治医に相談する際のポイントをまとめた、こちらの「相談シート」をぜひ活用してください。