• 見当識障害(いつ・どこ・誰がわからない)

    見当識障害(いつ・どこ・誰がわからない)

    夕方になると、ウロウロと家を出て行こうとするんです

    ご家族の困りごと
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  • 見当識障害(いつ・どこ・誰がわからない)

    見当識障害(いつ・どこ・誰がわからない)

    ここは自分の家じゃない。もうそろそろおいとましなければ…

    認知症の方の気持ち
    認知症の方の気持ち
このようなとき、どうする?
このようなとき、どうする?

01

認知症の方に寄り添いながら、気持ちを受け止めましょう

認知症の困りごととして、夕方になると住み慣れた自宅にいるのに、自分が家にいることがわからなくなって帰宅しようとする、というようなことが起こる場合があります。これは「夕暮れ症候群」と呼ばれ、認知症による見当識(けんとうしき)障害によるものです。見当識障害は、このような「どこ(場所)」のほかに、「いつ(時間)」や「誰(人間関係)」といった、自分の置かれている状況がわかりにくくなる症状もあります。
見当識障害のある方は多くの戸惑いや不安を抱えています。そのため、感情的に否定するのではなく、「もう外は暗いので危ないですよ。外に出るのは明るくなってからにしましょう」など、穏やかに寄り添いながら声をかけてみてはいかがでしょうか。
帰りたいと強く希望する場合は無理やり止めるのではなく、「じゃあ、あちらの部屋で帰る準備をしましょう」と認知症の方の気持ちを受け止めたうえで、別の部屋に一緒に移動してみてはいかがでしょうか。ご自身のいた環境が変わることで、それまで感じていた不安などがまぎれる可能性があります。そして、帰り支度をしながら身に着けている物の話題に触れるなど、少しずつほかのことに注意をそらせてみるとよいでしょう。認知症の方の心をときほぐし、自宅で安心して過ごせるようにすることが大切です。
ただし、ここに挙げた出来事は一例に過ぎず、その理由や対処方法は一様ではありません。認知症の方の言葉や行動に寄り添いながら、ご本人の状況や気持ちを受け止め、それに応じた個別の対応をとることが大切です。

02

生活のルーチン化と適切な声かけにより、認識を強化しましょう

時間の把握が困難な場合は、大きな数字の時計や日めくりカレンダーを見やすい所に置くなど、日時を認識しやすくする工夫をしましょう。また、決まった時間に簡単な家事を一緒にするなど、日々の生活をルーチン化することも効果的です。規則正しい生活は、時間や場所を把握するのをサポートします。
さらに、時間や場所、人間関係の認識を強化する声かけも重要です。たとえば、時間の認識では「おはよう。今朝はいい天気だね」、季節の認識では「桜がきれいに咲いて、すっかり春だね」、場所の認識では「この公園には、よくお散歩に来るね」、人間関係の認識では「お母さん、今日は一緒に出かけようか」など、日常会話の中で見当識の強化に取り組むとよいでしょう。
ただし、見当識の強化にあたっては、「今日は何曜日かわかる?」といった声かけは避けましょう。このような理解を試されるような声かけをされると、嫌な感情を抱きかねませんし、正しい曜日が答えられなかった場合は不安になってしまいます。認知症の方が穏やかに日常生活を送れることが重要です。

03

周りのサポートを活用して、介護負担を分散させましょう

見当識障害が生活の困りごとに発展すると介護する方の負担は大きくなり、時にいらだちを感じて優しく接することができない場合もあります。対応が難しいと感じたら、他の家族、デイサービスや訪問介護サービスなどの地域の支援、主治医やケアマネージャーなどの専門家を含む周りのサポートを受けることも重要です。

こちらにご紹介した症状および対処法は一例であり、すべての認知症の方に当てはまるわけではありません。個別の状況に応じた対処法は異なりますので、このような症状でお困りの方は、ぜひ主治医に相談してください。
主治医に相談する際のポイントをまとめた、こちらの「相談シート」をぜひ活用してください。

相談シートをぜひ活用してください