第12回 持続性注射剤(LAI)について
回答結果
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今回は統合失調症のご本人に「持続性注射剤(LAI:エルエイアイ)」についてお伺いしました(回答者数:135)。
統合失調症の治療薬にはいろいろな剤形がありますが、効果の持続する持続性注射剤(LAI)があることをご存知の方は約7割でした(Q1)。持続性注射剤についての情報は、主治医またはインターネット・本を通じて知ったという方が多く、あわせて9割でした(Q2)。一方、持続性注射剤を現在使用している人、これから開始する予定の人はあわせて3割程度で、7割の方は飲み薬で治療をしていることがわかりました(Q3)。
現在持続性注射剤を使っていない方のうち、この剤形を使ってみたいという方は4割でした(Q4)。
持続性注射剤による治療を希望しない方にその理由を伺ってみると、「現在の飲み薬による治療に満足している」(4割)、「使い慣れている薬の方が安心」(3割)と回答しています。また、中には「以前使ってみたけれど合わなかった」という方や、「主治医が勧めない」や、「注射が怖い・痛い」、「治療費が心配」、「副作用が心配」という方もいらっしゃいました(Q5)。
一方で、持続性注射剤を使ったことがある方にその良い点を伺ったところ、約半数は、「毎日服薬しなくても月1~2回の注射ですむ」、「薬の飲み忘れの心配がなくなる」、「薬を飲むところを人に見られないですむ」、といった服薬の簡便さをあげています(Q6)。また、持続性注射剤で治療を始めてからの生活の質について、「改善したと思う」と「少し改善したと思う」をあわせると7割の方が「改善した」と感じていました(Q7)。
統合失調症の再発を防ぐためには治療を続けることが欠かせません。同じ薬であっても、いろいろな薬の形(剤形)があります。自分の好みや生活に合った剤形を選ぶことで、治療が続けやすくなります。ご自分が服用されている薬にはどんな剤形があるのか、聞いてみるのもよいでしょう。また、毎日の服薬を面倒に感じたり、飲み忘れで困っていたりする方は主治医や薬剤師に相談するようにしましょう。
この結果は、ご本人を対象に2015年1月~2017年5月の期間にインターネットを通じて実施されたアンケートによるものです。
上島国利(精神科医師)
昭和大学名誉教授
回答数:135
性別
男性
女性
0
20
40
60
80
100
年齢
19歳以下
20~29歳
30~39歳
40~49歳
50歳以上
0
20
40
60
80
100
Q1:統合失調症の治療薬に4週間(または2週間)効果の持続する注射剤(持続性注射剤、LAI:エルエーアイ)という剤形があるのを知っていますか?
1. 知っている
2. 知らない
0
20
40
60
80
100
Q2:持続性注射剤(LAI)のことはだれに聞きましたか?
1. 主治医
2. 薬剤師
3. 親
4. 当事者会・デイケア
5. インターネット・本
6. その他
0
20
40
60
80
100
Q3:現在、持続性注射剤(LAI)で治療をしていますか?
1. している
2. していない
3. 近々始める予定
0
20
40
60
80
100
Q4:現在、持続性注射剤(LAI)で治療をしていない方にお聞きします。LAIを使ってみたいと思いますか?
1. 思う
2. 少し思う
3. 思わない
0
20
40
60
80
100
Q5:持続性注射剤(LAI)による治療を希望しない方にお聞きします。その理由はなんですか?(複数選択可)
1. 現在の飲み薬による治療に満足しているから(不便さを感じていない)
2. 使い慣れている薬のほうが安心だから
3. 以前使ってみたが合わなかったから
4. 主治医が勧めないから
5. 注射が怖い・痛いから
6. 治療費が心配だから
7. 副作用が心配だから
8. 親が勧めないから
9. デポ剤のメリットがよくわからないから
0
20
40
60
80
100
Q6:持続性注射剤(LAI)を使ったことがある方にお聞きします。LAIの良い点はなんですか?(複数選択可)
1. 毎日服薬しなくても月1回、もしくは2週間に1回の注射で済むこと
2. 症状が安定すること
3. 飲み忘れの心配がなくなること
4. 薬を飲むところを人に見られないですむこと
5. 薬を飲んだか確認されないこと
6. 再発や入院が減ること
0
20
40
60
80
100
Q7:現在、持続性注射剤(LAI)で治療している方にお聞きします。LAIでの治療をはじめてから生活の質は改善したと思いますか?
1. 思う
2. 少し思う
3. 思わない
0
20
40
60
80
100