活き活き暮らすためのQ&A
趣味・余暇
趣味とは「自分の仕事としてではない楽しみ」と言われますが、皆さんが趣味を持ちたい理由は何ですか。「楽しみがほしい」「充実した時間を送りたい」「趣味を通して人と交流したい」などの理由があると思います。
実際の趣味にもいろいろあります。スポーツに関すること、健康に関すること、芸術に関すること、動植物を育てること、コレクションに関すること、娯楽に関すること、食べ物に関すること、学問に関することなどなど。
一人で行うもの(例:ジョギング、ナンクロ)、1対1で対戦するもの(例:将棋、囲碁)、学習するもの(例:料理教室、語学)、集団で行うスポーツ(例:バレーボール、フットサル)など取り組み方もいろいろあります。
新しいものを始めるときはどうしても力が入ってしまうものですが、まずは、やりたいことを考えてみましょう。自分一人で始められることであれば、あまり日にちをおかずに始めてみることをお勧めします。
近頃は、民間や公民館の語学教室、カルチャースクール、スポーツセンターのスポーツ教室など、参加できる教室も増えてきました。
しかし、病気をしたあとはどうしても自信が持てないものです。そんなときは、地域活動支援センターをたずねてみてください。いくつかのサークル活動を行っていることがあります。
また、「趣味をみつけて充実した生活をしたいけれど、何から手をつけていいかわからない」などという場合は、市町村の障害福祉の担当窓口や市町村の委託相談支援事業所にご相談ください。
日本人の好きな余暇には、「テレビ」「ごろ寝」「おいしいものを食べに行く」「DVD・ビデオを見る」「新聞を読む」「ショッピング」「本や雑誌を読む」「友人・知人とつきあう」「旅行」などがあります。
余暇は、一日のうちで労働の合間に生じる時間のことです。余暇活動は、労働に限らず、日中活動の合間にする活動のことです。
皆さんは、余暇をどのように過ごしたいと思いますか。一人で趣味に打ち込みたい人もいるでしょう。のんびり過ごしたい人もいるでしょう。友だちや仲間と楽しく過ごしたい人もいるでしょう。
楽しみをみつけると日々の生活にも励みが出てきます。つらい仕事も楽しみがあると乗り越える力になります。
さて、楽しみをつくる方法ですが、一般の公民館などのサークル、カルチャースクール、スポーツクラブに入会する方法や、語学教室や料理教室などに参加する方法などのほか、地域活動支援センターのサークル、精神障害者の当事者会、働いている精神障害者の会などに参加する方法があります。
皆さんと同じように、余暇をどう過ごそうかと思っている人はたくさんいます。でも、自分から声をかけるのは躊躇してしまうものです。「シーズンスポーツサークル」という、季節ごとにいろいろなスポーツを行うサークルがありますが、「余暇活動を充実する会」を仲間と結成して、みんなでいろいろな活動をしてみるのも一つの方法です。
皆さんがボランティア活動を始めたいという理由は何ですか?それぞれ、いろいろな動機があることでしょう。人の役に立ちたい人、人と交流したい人、社会参加をしたい人、仕事につく前に何かにチャレンジしたいと思った人、自信をつけたい人、以前からボランティア活動をしていた人、もともと関心がある分野に携わりたい人、生活が安定して余暇を上手に使いたい人などなど。
ボランティア活動は、一般には「自発性」「無償性」「利他性」「先駆性」を大切にしていますが、有償のボランティア活動も広がっています。
ボランティア活動は、自らも学び、成長するなど、人生を豊かにする活動の一つと言われています。私たちにとって、生活のなかで「楽しむこと」「働くこと(仕事に限らず)」「役に立つこと」はとても大切なことです。人生の喜怒哀楽を実感しながら、生きる力を取り戻すことになるのでしょう。ボランティア活動を通して、人と交流する、役割をもつ、楽しさを実感することができたら本当に嬉しいですね。
ボランティア活動の始め方ですが、ボランティアといっても様々な活動があります。ボランティアの情報を知りたい人、すでにある活動に参加してみたい人は、市町村の社会福祉協議会やボランティアセンターを訪ねてみてください。いろいろな活動があることがわかります。もちろん、自分であらたな活動を始めることもできます。ボランティアの基礎を学べるボランティア講座やボランティアをしている時の事故等に備えて、低額で加入できるボランティア保険などについての情報を得ることができますし、皆さんの希望に応じて相談にも乗ってくれると思います。
また、身近な活動であれば、今日から一人でも始めることができます、大通りや町の清掃活動、あいさつ運動などなど。
ボランティア活動に熱心な地域活動支援センターもあります。
さあ、何からはじめましょうか!
そうですね。誰でもいきいき生活したいですよね。
統合失調症の症状としても、意欲がわかないことがありますから、そのような場合は主治医と相談してみましょう。リハビリテーションの活用も有効だと思います。
そのうえで、ご質問の「いきいき生活」について考えてみましょう。皆さんはどんな時に「いきいきしている」と感じますか?「目標をもっているとき」「楽しいとき」「困難を乗り越えたとき」「仲の良い友達ができたとき」「趣味に打ち込んでいるとき」「仕事をしているとき」「活動場所があるとき」「人に感謝されたとき」「自分の思いが通じたとき」などいろいろありますね。
いきいき生活は、その「対象」(たとえば、趣味、家族、仲間、仕事、体験、目標)と「感じる力」(たとえば、よかった、頑張った、楽しい、幸せだ)でできています。つまり、いきいきするとは、「趣味がある」、「仲間がいる」、「体験がある」ということ等に加えて、「今日はよかった」「大変だったけれどなんとかなった」「喜んでもらってよかった」「今までの体験が役にたった」など皆さんの感じる力が大切ということです。
いきいきしたいと思う時って、「こんな自分ではダメなのでは」という気持ちと重なっていることがあります。でも、まずは、様々な困難と向き合ってきたご自分のことを「いろいろあったけど、よくやっている」と少し認めてみてはどうでしょうか。そんな気持ちを仲間と「わかちあえる」こともいいことだと思います。
力を入れすぎずに、自分のやってみたいことをみつけて、ちょっとしたことでも喜びと感じることができるよう、感じる力をちょっと育てると「いきいき感」が得られることでしょう。
障害者スポーツは身体障害者の医学的にリハビリテーションとして始まったものです。従来の精神障害者のスポーツは、入院している人のレクリエーション、作業療法、デイケアのリハビリテーションプログラムとして行われていました。
競技としての障害者スポーツのひとつに、バレーボールがあります。2001年に第1回全国障害者スポーツ大会(宮城県)の関連事業として開始されて、2002年第2回全国障害者スポーツ大会(高知県)のオープン競技となり、2008年第8回全国障害者スポーツ大会(大分県)から正式競技となりました。
全国大会は、都道府県の代表として、全国の6ブロックを勝ち抜いてはじめて出場できます。バレーボールの地区大会、カップ戦などが行われている都道府県もあります。クラブチームも増えてきました。
また、競技人口が急速に増えている競技としてフットサルがあります。フットサルの全国大会も開催されています。各地域やブロックによるリーグ戦やカップ戦も始まっています。また、Jリーグの社会貢献としての協力も得ています。
その他、みなさんの目標に合わせて、卓球、ソフトボール、グランドゴルフ、太極拳、スポーツ吹き矢など地域ごとに様々な活動が行われています。スポーツは、私たちが健康で活き活きと生活していくための大切な活動です。地域活動支援センターなどのスポーツ活動に参加する人、障害者のクラブチームに加入する人、地域のいろいろなスポーツ同好会に参加する人、みなさんも自分にあった活動を始めてみませんか。
詳細は、市町村の障害福祉担当窓口や、市町村の委託相談支援事業所、地域活動支援センター、都道府県の障害者スポーツ協会におたずねください。
海外旅行ですか。良いですね。どちらに行きたいと思っていますか?
近頃は、ソウル、グアム、台北の人気が高いようです。ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアなどなど、考えるだけでもわくわくするでしょう。
私の知人の男性は統合失調症なのですが、15年前にアメリカを旅行した際、「アメリカの精神障がい者は、ずいぶん自分らしくいきいき生活しているなあ」と思ったそうです。その彼が、先日、「日本の精神障がい者もリカバリーを語るようになってずいぶんと変わってきました。アメリカに行った時のことを思い出します」と話していました。
さて、海外旅行の注意ですが、海外旅行に行くことを主治医と相談して、気をつけることなども聞いておきましょう。そのうえで、万が一に備えて、旅行用の診断書(英文)を書いてもらえるとベストです。
アメリカ合衆国では、ビザ(査証)の免除プログラムというものがあり、就労を伴わない短期渡航の場合は通常はこの適用を受けることができます。そしてそのためにESTA電子渡航認証システム(http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/us_esta.html)が導入されています。その際、「身体的または精神的障害を患っていますか」と質問がありますが、どのような場合 "Yes"または"No"にチェックすればよいかの基準は、ESTA電子渡航認証システムのよくある質問(https://esta.cbp.dhs.gov/esta/WebHelp/helpScreen_ja.htm#WP3)を参考にすればいいです。
このように、入国審査で精神障害の有無の回答を求める国があることは知っておきましょう。
さて、海外旅行では、様々な体験ができることでしょう。異国の文化やそこに住む人たちとの交流も楽しいですね。そんななかで、自分自身の新たな発見もあるかもしれませんね。旅行に際しての細かな心配は、身近な相談者に相談しておきましょう。それでは、すてきな海外旅行を!
自分の体験をお話しいただくことはとても良いことだと思います。
皆さんは、仲間内でその話をしたいと思っているのでしょうか。それとも、啓発普及や福祉教育のためにいろいろな人に話をしたいと思っているのでしょうか。
仲間内で話をすることは、気持ちのわかちあい、情報のわかちあい、知識のわかちあいをすることができます。ご自身にとっては、病気や障害を経験しながらも頑張ってきている自分自身を振り返ることなり、自分の考えをまとめることになり、自分の新しい生き方や価値をみつけることにもなるでしょう。その話を聴いた仲間は、共感し、安心感を得て、自分の価値をみつめることになるでしょう。
啓発普及や福祉教育ではどうでしょう。皆さんの話を聴いた市民の人たちは、障害を正しく理解する機会をもつことになりますし、精神障害者に限らず、お互いを大切にすることを心がけるようになるかもしれません。メンタルヘルスの重要性を考える人もいることでしょう。専門職も、自分たちの支援のあり様を考えることになるでしょう。
とはいえ、難しく考えず、自分の体験や気持ちをお話しいただくことが大切です。皆さんが体験してきたこと、気持ちや考えは、話をする皆さんにとっても、話を聴く人たちにとって何よりの教科書となることでしょう。
市町村の福祉課、委託相談支援事業所、地域活動支援センターの職員に、「体験談を話してみたいんだけれど」と相談してみてください。
皆さんは当事者会でどのような活動をしたいと思っていますか。
仲間づくりですか? ピアカウンセリングですか? 情報・知識を得ることですか? 政策提言ですか? 現状の改革を掲げた運動ですか?
精神障がい者の当事者会が増えてきています。当事者会は、それぞれが目的をもって活動しています。気持ちのわかちあい・情報のわかちあい・知識のわかちあいなどを大切にして、仲間づくりやピアカウンセリングを基本に活動している会もあります。地域や全国の仲間の声を集めて、地元の自治体や厚生労働省に提言している会もあります。権利擁護の視点から現状の法律の変革をもとめて活動・運動をしている会もあります。
それぞれの特徴を理解したうえで自分にあった当事者会をみつけてください。また、地元に自分にあった当事会がないときは、仲間と当事者会をつくることもお勧めします。全国精神障害者団体連合会(http://blog.canpan.info/zenseiren1801/)のスローガンは「ひとりぼっちをなくそう」です。
当事者会で仲間をみつけて、自分らしく、自分の持ち味をいかした活動ができるといいですね。詳細は、市町村の障害福祉担当課、市町村の委託相談支援事業所、都道府県の精神保健福祉センターをお尋ねください。
そうですね。障害者総合支援法(旧.障害者自立支援法)ができて、サービスの一元化を目指していますが、精神障害者への施策やサービスが行き届いているとは言えません。
市町村の委託を受けている相談支援事業所の相談支援専門員は、皆さんの個別の相談に応じることに加えて、その相談を通して見えてくる地域の課題を集約して、地域の相談支援をはじめとする障害者福祉に関するシステムづくりを協議する自立支援協議会に反映させていく役割を担っています。このようや自立支援協議会の委員にも、障害当事者が参加しています。
都道府県や市町村が障害者計画(障害者支援全般の計画)や障害福祉計画(必要なサービス量を提示する計画)を定める際には、ここでも障害当事者が策定委員として参画しています。このときには、障害当事者へのアンケート調査やヒアリング調査等も行われていますので、皆さんの声を伝えることができます。また、このような会議は、別途、公募委員を募集してもいます。障害当事者が自ら手を挙げて公募委員となって、計画づくりに参画している人もいます。
国の障がい者制度改革推進会議や総合福祉部会では、多くの障害者が参画して、障害者総合福祉法策定にむけた提言を行っているところです。
このように、障害当事者の「私たちのことを私たち抜きで決めないで」という考え方がようやくわが国でも浸透してきています。
皆さんも、精神障害者への施策やサービスのあり方について、まずは、仲間同士で話し合うこと、学習することから始めてみませんか。すでに、いろいろな考えをお持ちの方は、身近なところでは、委託相談支援事業所の相談支援専門員や市町村の障害福祉担当者、障害当事者の代表者等と、障害者施策についての意見交換をするところから始めてみてはどうでしょうか。皆さんのお住まいの市町村の障害者福祉の現状がわかると思います。
自分とつきあう
まずは、現在かかりつけの医療機関や利用している施設の職員、家族、友人、知り合いなど、一番話しやすい人に相談できるとよいのですが、なかなか相談しにくかったりするかもしれませんね。
現在お住まいの市町村には、相談にのってくれる障がい者支援の窓口があるはずです。そこには、保健師や精神保健福祉士が配置されているところが多く、精神保健福祉についての専門的なことも相談することができます。
また相談支援事業所という市町村から委託を受けて相談を専門に受けているところもあります。WAMNET(独立行政法人福祉医療機構の運営する福祉・保健・医療の総合サイト(http://www.wam.go.jp/shofukupub/)で、お住まいの地域を選んで探すこともできます。
生活上の問題、経済的な問題、病気について、医療について、就労についてなど、さまざまな悩みを聞いて、解決に向けてサポートしてくれます。
いずれにせよ、困ったときや不安なときに、一から説明するのは、なかなかうまくできない場合もあります。普段から、困ったときに相談する機関をいくつか利用しておき、ある程度、相談員とも話せる仲になっておくと、いざというときにも、話が通じやすく、理解してもらいやすいと思います。今困っていなくても、「何かあったら相談させて欲しい」と話しに行っておいてはいかがでしょうか。
そのイライラや憂鬱な気分になるのに、何か理由がありますか?理由がはっきりしていればイライラや憂鬱な気分になるのは健全に感情が動いている証拠です。ただ、理由がはっきりしなかったり、些細なことでそうなったり、その状態が長く続くようであれば、精神的に安定しているとは言えません。そのような状態を引き起こすのはいくつかの原因が考えられます。統合失調症や気分障害(うつ病やそううつ病など)などの精神疾患の症状によるものの他、服用している薬の副作用、脳になんらかの異変が起きている場合、女性であれば更年期障害も考えられます。しばらく症状が続くようであれば、早めにかかりつけのお医者さんにご相談なさることをお勧めします。
原因を探り、適切な対応をすれば、改善するはずです。すでに精神科に通院されているのであれば、主治医の先生に相談しましょう。一日も早く、ご自分本来の状態になることを願っています。
夜、孤独感や孤立感を感じ、そのような気持ちになってしまう人は少なくありません。自殺した人の統計では、男性は夜12時と明け方5時ころにピークがくるようです。女性は、明け方とお昼頃がピークのようです。そこで、「いのちの電話」などが深夜でも電話相談を受け付けています。ひとりで悩まず、誰かに聴いてもらうことは気持ちを軽くしてくれます。
また不安や心配事があると不眠がちになります。きちんと診察時に不眠であることを告げ、睡眠薬を処方してもらえるか相談してみましょう。ちなみに睡眠薬は内科などでも処方してもらうことは可能です。精神科にかかっていない方は、かかりつけの内科医があれば、そちらに相談してみても大丈夫です。もし死んでしまいたくなるような気持ちになることが続くようであれば、頓服薬(定期的に服薬する薬の他に、病気が不安定になったときに追加で飲む薬のこと)の使用や、ひどいときは一時的な入院も含め、主治医と相談する必要があります。
どちらにしても、その孤独感や孤立感の根本的な解決がなされなければ、そのような気持ちになることを完全に防ぐことはできません。日中のうちに、問題解決について、相談するようにしましょう。日頃から、相談できる人が複数いると、誰かに連絡がつかなくても、別の人に聴いてもらえます。経済的な問題、家族関係、友人関係、仕事の問題、恋愛問題など、原因はさまざまだと思います。特に精神科の病気を抱えている人は、そのことをよく知っている専門職に相談するのがよいと思います。かかりつけ医療機関や相談支援事業所の精神保健福祉士や役所の保健師さんなど、地元で関わってくれる方に日ごろからご自分の様子をよく話しておくと、何かあった時にもすぐ理解してくれます。遠慮なく、ご相談ください。
参考:厚生労働省ホームページ自殺動態統計特殊報告
イライラして何かにあたりたくなることって、ありますよね。何をやってもうまくいかないときや、誰かにじゃまされたりしたときなど、私もつい何かにあたりたくなります。
そんな時、本当に誰かにあたってしまうとあとで気まずくなったり、逆に相手をイライラさせたり、反撃されたりして、かえって悪い結果になることの方が多いように思います。物にあたっても、たとえば壁を蹴っ飛ばしても、足を痛めたりして…。
イライラしてきたら、こうすると落ち着くということを普段からいくつか用意しておくといいと思います。それは人によって様々なので、自分オリジナルでいいと思います。トイレで個室に入り、ゆっくりすると落ち着くという人もいますし、好きな音楽を聴くと落ち着くという人や、その場を離れてコーヒーを飲むことで落ち着く人もいます。最近では、イライラしたことをツィッターでつぶやくと落ち着くという人もいるかもしれません。
そんなイライラ解消法を駆使して落ち着くことができれば一番ですが、それでも我慢が出来なくて常にイライラしやすいという方は、主治医とよく相談し、一時的にイライラを抑える薬の処方をしてもらうことが必要かもしれません。
あなたがイライラせず、笑顔で過ごすことができれば、きっと周りの人もイライラすることなく笑顔になって、そのまた周囲の人も笑顔になって…、その笑顔がいつか自分に返ってくる、そんな世の中にしたいですね。
芸能人やナルシストであればうれしいのかもしれませんが、きっと「かっこいいから、俺は目立ってるな」とニンマリしているわけではなく、何か奇異な目でこちらを見ているんだと感じているのでしょう。
いろいろと相談を受けていると、中高生が笑っているのが自分のことを笑っていると感じるという人は結構います。街中でも制服姿を見かけるだけで怖くなったり、隠れたりするという人もいます。ご自分が中高生の頃に、いじめられたり、コンプレックス(劣等感)を強くもったりした経験のある人が、特にそう感じやすいのかもしれません。
自分が電車に乗っているところに、知らない人が乗ってきたと思えば、そのことに何かを感じることはないだろうとわかっているのに、どうしても見られているように感じてしまうという方が多いようです。周囲の人の目が気になるのは、電車だけでしょうか? すべての人が気になるのでしょうか?また気にならないのはどのようなところ、どのような時でしょうか? それを知ることで、ストレスを回避することもできますし、通院されているのであれば、主治医の先生にそのことを伝えてみて下さい。周囲に過敏になっているようであれば、少し緩めるお薬もあります。
もし、自分一人ではうまく考えがまとまらないという時は、主治医や精神保健福祉士などに相談して一緒に考えてもらいましょう。それでも、気になって電車に乗れないという場合は、その事自体をあまり重大なことと考えすぎず、「いつか必ず治るから、今はほっとこう」といったリラックスした考え方をして、利用できる移動手段を使って、出かけられる範囲で出かけるようにしましょう。
まずは、つらい状況をわかってもらえる人を一人でも多く作ることが大切です。
ひきこもるきっかけとなった、何かとてもつらい状況があったのでしょうね。あなたはひきこもるしか方法がなかったのでしょう。現状で外にでるのが、苦痛でしかないというのであれば、無理に出ることはかえって自分をつらくすることになります。
ただ、もし「そろそろ動きだそう」、「何か社会と接点を持ちたい」と思っているのにきっかけがつかめないという場合でしたら、相談をするところがあります。
ひきこもり地域支援センターというところが全国の自治体に設置されていたり、NPO法人に委託されたりしています。そこに相談すると、話しを聞いてくれたり、ひきこもりを経験した人たちの集まりやイベントなどについて教えてくれます。中には、職業訓練をしてくれたり、生活を立て直す宿泊所を提供しているところもあります。
各都道府県の精神保健福祉センターでも、ひきこもりに関する相談を受け付けています。
まず軽い気持ちで電話してみましょう。すぐに動き出さなくても大丈夫です。時々話しを聞いてもらうところからでもOKです。
ご家族からのご相談も受け付けていますので、遠慮なく電話してみてください。
○ひきこもり地域支援センター連絡先(厚生労働省HPより)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/dl/hikikomori05.pdf
「障害者と認めたくない」、「障害者と言われたくない」という声を時々耳にします。なぜそう思うのでしょう。精神障がいの場合、そのほとんどが思春期以降に発病します。そして、発病前に自分が思っていた精神障がい者のイメージがそのまま自分に向かってしまうので、「認めたくない」と思ってしまいます。でも、そのイメージは周りの人が言ったことやマスコミ報道などから作り上げたイメージです。さらに、他の障害と違って病状が安定すると障害の程度も変化し、落ち着いているときは障害のない人とどこが違うのかわからない人もいますので、「認めないでいいのではないか」と思う人がいてもおかしくありません。
そもそも、日本では障害者という概念は実はあいまいです。精神障がいだけをとっても手帳による認定、障害年金による認定がありますが、そのどちらもとっていなくても、「私はうつ病を患っており、精神障害者です。」という人もいます。「サービスを利用するために、手帳は持っているけど、私は精神障害者ではありません。」という人もいます。
結局は、ご自身が認めたくなければ認めなくて良いのです。それで何も変わりません。逆に認めたから急に何かが変わるわけでもありません。あなたはあなたです。認めようが、認めなかろうが、ご自分の人生を歩むことに大きな違いはありません。認める、認めないで悩むより、これからの自分の生活について、恋愛について、仕事について、人生について悩んだ方がよいと思いませんか?
最近、障害者という言葉は使っている字がよくないからと、平仮名にしたり、「害」を「碍」という漢字に変えたりする動きがあります。これについては、国際的に障害者の差別や偏見をなくしていこうとする活動が実を結び、国連で障害者権利条約が作られ、日本も批准に向けて、検討が始まっています。国連でも日本でも、障害のある当事者がその話し合いに参加する形で進められています。障害者をどのような表記にするにしても、きちんと正しい知識を子どもの時から教えて、偏見に苦しむことのない、障害者が尊厳を持って生きられる社会にしていきたいですね。