働く・学ぶに関するQ&A
働く
仕事を探すにはいくつか方法があります。その前に、精神障がいについて理解のある職場で働きたいか、またはできれば障がいをオープンにせずに働きたいか、どちらかによって探し方に違いがあります。
後者であれば、一般的な方法で探す事になります。ハローワーク、新聞等の折り込みチラシ、求人情報誌、ネット求人サイトなどです。
前者の場合、まずハローワークの障がい者担当窓口があげられます。ここを利用するには障害者求職登録手続きが必要です。主治医の意見書(所定の用紙有)の提出を求められます。また、障害者就業・生活支援センターも各都道府県に設置されています。ここでは、ひとり一人にあった仕事をハローワークと連携して紹介したり、職場実習やトライアル雇用などの制度を活用したり、ジョブコーチとして職場を訪問したりします。仕事のことだけでなく、生活面でのサポートも受けられます。せっかく仕事がみつかっても生活面が安定していないと、仕事に集中できなかったり、休みがちになったりと落ち着いて仕事ができなくなります。地域障害者職業センターも各都道府県に設置されていますが、ここでは職業評価(どんな職業に向いているか)や職業訓練を受けることができたり、ジョブコーチを派遣してくれたりします。
現在、かかりつけの医療機関の精神保健福祉士や、相談支援事業所の相談員、地域の保健師など、身近な専門職の人に、仕事探しを始めたいと相談してみましょう。適切な方法と利用できる機関や制度を教えてくれるはずです。
現在、障害者雇用促進法という法律で、59人以上の従業員が雇用されている企業は、従業員の人数に応じて障がい者を雇用しなければならないという障害者雇用率という制度があり、従業員の1.8%の人数とされています(公務員は2.1%)。ということで、大企業ではたくさんの障がい者が働いていますが、障がい者の雇用が義務づけられていても、雇用しない企業があったり、雇用していても雇用しなければならない人数を満たしていない企業も多く見られます。そのような企業は、雇用を満たしていない障がい者数×5万円を納付しなければならないという制度になっています(現在は従業員201人以上の企業が対象)。逆に、障がい者を雇用率以上に雇用している企業には、助成金を出す仕組みになっています。
雇用率自体は、制度のある諸外国に較べるとかなり低いので、今後引き上げることも検討されています。精神障がい者については、長年この雇用率の対象に含まれませんでしたが、平成18年にようやく算定してもよいということになりました(ただし、まだ雇用義務ではありません)。これにより、他の障がいと較べると雇用者数はまだ少ないですが、企業に雇用される精神障がい者数が年々増加しています。国も積極的に障害者雇用施策を進めていますので、様々な職種で雇用されるようになってきています。
制度で決められた大きな企業だけでなく、中小企業では以前から障がい者の雇用は行われてきました。小さな会社は、障がい者雇用率は関係ないので、その多くは社長さんの思いから、障がい者を雇ってきた会社が多いです。アットホームな雰囲気で働きたい人は、中小企業の方が向いているかもしれません。
働く場としては、製造業や清掃で働く人が多い傾向はありますが、パソコンが得意な人が事務職で働いたり、店舗の清掃や品だし、郵便物の仕分け、飲食業やコンビニでの接客、最近では農業関係などいろんなところで障がい者の雇用が進んでいます。
大企業でも、中小企業でも、どのような企業が障がい者求人を出しているかは、ハローワークに行くとわかります。最寄りのハローワークの障がい者求人窓口にご相談になると教えてくれます。また障害者就業・生活支援センターなどの障害者の就労を支援してくれるところでも情報を持っていますので、お気軽にご相談なさってみて下さい。
まず、あなたはどんな職業に就きたいと思っていますか?また、どのような働き方をしたいと思っていますか?正社員を希望なのか、とりあえずアルバイトがしたいのか、短時間のパートを考えているのか、それらを整理してみましょう。その上で、障害者就業・生活支援センターやハローワークの障がい者相談窓口で気軽に相談してみましょう。
正直に「仕事を探す自信がありません。」とおっしゃっていいのです。どちらも仕事を探すお手伝いをしてくれる所です。どうやって探すとよいのかを教えてくれますし、希望を言えば、希望に添って求人を探してくれます。
まだ今は働くのは自信がないけれど、相談するとすぐに働かないといけなくなるのでは?という人もいます。それも正直に伝えてもよいのです。紹介してもらったからと無理に働くことはありません。様子見でもかまいませんので、まずは一歩踏み出してみましょう。
どんな求人があって、どんな働き方ができるのか、機が熟したときの参考になりますよ。
自分に合う仕事がわからないという相談はよく耳にします。働いたことがなくてどんな仕事をしたらよいかわからないという方や、いろんな仕事をしたがうまくいかなかったので、今度は向いている仕事をしたいという方もいらっしゃいます。
各都道府県に設置されている地域障害者職業センターというところで、「職業評価」をしてくれます。そこでは職業能力等を評価し、どのような分野の仕事が向いているのかを教えてくれますので、相談してみるとよいでしょう。予約制になっていることが多いので、まずは電話で問い合わせをしてみましょう(全国の連絡先は下記アドレス参照)。
ただし、「職業評価」はあくまで就職活動の参考にするもので、それで向いていると判定されたからといって職種を短絡的に決めることは必ずしもお勧めしません。自分がどんな仕事をしたいのかを探す参考にすることが大事です。
自分がどんな仕事をしたいのかという希望をもっていることはとても大事なことです。就職活動は、まずそこからスタートして相談を進めていきます。なかなか希望の職種や条件では見つからないこともあります。そんな時に、どの部分の条件なら変えてもいいかを相談しながら、自分で考えて決めていきます。こうして決めていった仕事は、自分でもある程度納得してチャレンジできると思います。
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構ホームページ地域障害者職業センター一覧
http://www.jeed.or.jp/location/chiiki/index.html
どの仕事であっても、やる前は多くの人が自信満々ではありません。仕事をしながら、少しずつ仕事を覚え、職場の人にも慣れていくことで、「この仕事をやっていけるかな」と思えるようになります。それで少し自信がついてきます。自信はあとからついてくるものなのです。自信がないことは当たり前のことで、少しもおかしいことではありません。まずは失敗してもよいのでチャレンジしてみることが大事です。もし失敗しても、そこから学ぶことが必ずあるはずです。
どうしても自信がなくて一歩が踏み出せないという方は、作業所や授産施設、就労継続支援事業等を利用して、同じ障がいのある仲間とともに働くことを体験したり、職場実習などの制度を利用して、実際の企業などで働く体験をしてみることをお勧めします。どちらにしても、自信をつけるには、実際にやってみることが一番です。まずは、かかりつけ医療機関の精神保健福祉士や、お住まいの市町村の障害者福祉を担当する部署、地域の障害者相談支援センターなど、身近な相談できる人に話してみましょう。そして施設の利用方法を教えてもらったり、ハローワークの障がい者相談窓口、障害者就業・生活支援センターなどを紹介してもらうと、実習などについて知ることができます。
仕事につくときに病気や障がいのことを事前に伝える(オープンにする)のと、病気や障がいのことは伝えない(クローズにする)のとでは、それぞれメリットとデメリットがあります。それをよく考慮した上で、どちらにするかを決めるとよいでしょう。
オープンにすると、病気や障がいのことを理解して雇ってもらえるので、服薬や通院のこと、症状のことなどを心配せず、短時間でも働くことができますし、年齢が高い人や、しばらく仕事をしていない人でもクローズの場合に比べ、採用の可能性は高いでしょう。職場で障がいに理解のある専門職の支援が必要な場合、ジョブコーチを利用することも可能です。また企業側も、障がいのある人を雇うことで障害者雇用率に算定できたり、助成金を活用できるなどのメリットがあります。オープンにしたときのデメリットは、希望する職種での就職が難しかったり、障がい者の雇用に積極的は企業が就職希望者数に比べてまだ少ないのが現状で、仕事がなかなか決まらない可能性があります。また給与の面で、一般の就職に比べて、時給で差があったりする場合が多いでしょう。
一方、クローズにすると病気や障がいが落ち着いている人であれば、採用される可能性は高くなりますが、病気や障がいについては企業側に伝わっていないので、一般の社員と同じ扱いとなります。時給は普通ですが、その分期待される仕事の量や質をこなすことが求められます。病気のせいで仕事からしばらく遠ざかっていると、面接等で問われることも考えられますし、年齢が40歳以上になると一般の就職率も下がりますので、その点でもデメリットを考慮する必要があります。
基本的には、現在の病状や障がいがその仕事をする上で差し支えがないと判断できるかどうかがひとつの材料となるでしょう。また、精神的には安定していて、自分ではその仕事をできると思えても、病気や薬の副作用で、震えがあったり、ろれつがうまくまわらなかったり、身体的に特徴的な症状が出ていると、クローズの場合、面接で落とされてしまう可能性があります。
どちらにしても、現在のご自分の状況を客観的に見てくれる支援者に相談することは大切です。相談できる支援者がいる人といない人では、仕事の継続率に差があるようです。オープンでいく場合、トラブルがあったときに職場を訪問してもらえたり、普段から相談にのってもらえるという安心感があります。クローズの場合も、仕事で煮詰まったり、悩んだときに相談することで乗り切ることができるかもしれません。
先ず、就職活動に入る際に、安心して相談できる支援者を確保しておくことをお勧めします。
精神疾患の中には、症状として、記憶障害が起こり、なかなか教わったことを記憶にとどめることが難しい人がいます。また認知機能の障害により、教わっている仕事そのものをきちんと理解できなかったりすることもあります。
仕事の向き不向きもありますが、その仕事を本当に続けたいと思っているのであれば、がんばって様々な工夫をしてみましょう。たとえば、簡単な仕事であっても、教わったことは必ずメモを取るようにするのも一つです。自分ではなかなかメモをとることが難しい場合もあります。その際は、理解のある職場であれば、仕事を教えてくれる方にお願いして、仕事の内容を文章化してもらうことをお願いしてみましょう。それも難しいようであれば、どなたか支援してくれる専門職の人に職場を訪問してもらい、仕事を覚えるまで寄り添ってもらい、わからなくなったら教えてもらう方法もあります。
地域障害者職業センターという機関は、そのような専門職を派遣するジョブコーチ制度の窓口になっています。まずはかかりつけ医療機関のソーシャルワーカーやご利用されている施設職員、お住まいの市町村の障がい者担当窓口、相談支援事業所などに相談してみましょう。
お仕事で何か失敗をしたのでしょうか? 上司に怒られると落ち込みますよね。特に精神障害のある人の中には、ナーバスになりやすい人が多くいますので、「クビにされてしまうのでは」と強い不安を感じてしまうことも少なくありません。
そんな時は、どうしたらよいでしょう。まずは、いつも相談に乗ってくれる方に相談してみましょう。もし、ジョブコーチや就業・生活支援センターのスタッフ等が職場にきてくれているようであれば、その方たちに相談するのがよいでしょう。その職場のことをよくわかっている人であれば、話しもしやすいですし、内容によっては職場との調整もしてくれます。精神障害のある人が、このような心配をする場合、実は職場の人は全くクビということは考えていないことが多いです。しかも怒ったわけでもなく、ただ注意しただけのつもりだったということも。もちろん、大きな失敗をしてしまって、本当に怒られていることもありますので、相談する人に状況を包み隠さず、よく説明して聞いてもらい、客観的な意見を聴かせてもらうとよいでしょう。そのうえで、謝るべきであれば、きちんと謝罪するなど誠意ある姿勢を見せましょう。
必要な時に、支援を受けることができることも、仕事を長続きさせるには大事なことです。
秘訣ですか…、難しい注文ですね。どんな仕事でも、これをすれば続けられるといえることって、ありそうでない気がします。もちろん、遅刻や欠勤をしないとか、挨拶をきちんとできるなどのマナーが身についていることは仕事を続ける上では大切なことですが、当たり前すぎて、秘訣とは言えませんね。仕事に見合った体力があることや、精神科の病気を抱えているなら、服薬の大切さです。仕事を続けるために必要なことを挙げれば、切りがないですが、あえて秘訣といえるものを挙げるとしたら次の二つをお勧めします。
まずは、仕事選びについてです。続けることを念頭におくのであれば、あまり高望みせず、体力面、精神面、その仕事上で必要とされるスキル、それらに余裕をもってできる仕事を選ぶことだと思います。もちろん、自分のやりたい仕事はハードルが高くてもチャレンジするのはいいことだと思いますし、応援したいと思います。ただ仕事を続けるということに主眼を置くと、余裕が必要と思います。
次に、笑顔でいられること。障害者雇用で働くなら尚のこと、笑顔で挨拶、笑顔で受け答えができることは、周囲へよい印象を与えますので、職場での人間関係を良くします。笑顔でいると、ナチュラルキラー細胞も活発化し、ストレス耐性も高まります。その結果、仕事は長続きしやすくなります。
もうひとつ加えると、相談できる人をなるべく多く作っておくことです。職場内、職場外(専門職、友人、家族、親戚…)どちらにも相談できる人がいるといいですね。精神障害を抱えながらの就職活動であれば、専門の支援機関を利用することをお勧めします。障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどが相談や職場訪問などの支援してくれます。
なかなか仕事が長続きしないという方も多いと思いますが、もう一度余裕をもってできる仕事を探してみませんか? 障害を持っていても、生涯働ける仕事を見つけられるよう、頑張ってください。
よくこの心配を耳にします。まずは生活保護についてですが、基本的には生活保護で受けている給付額を超えて収入があった場合、保護の打ち切りを担当者は検討します。本人の様子をみて、数ヵ月続けて収入が保護費を上回ったら保護の支給を止めるというのが一般的です。
一方、障害年金についてですが、拠出年金の場合(20歳を超えてから年金を納付している)は、障害厚生年金でも障害基礎年金でも収入に関係なく支給されますが、無拠出年金(20歳未満で年金を収めていない)の障害基礎年金の場合は、所得によって年金額が半減されたり、全額支給が停止されることがあります。
たとえば、所得額が年間462.1万円以上あると、ストップされます。ただし扶養家族がいる場合には、扶養家族一人につき38万円の上限額が上がります。つまり500.1万円になります。扶養家族が二人いる場合には、538.1万円までは停止されません。
また所得が360.4万円を超えると半額を支給停止されます。こちらも扶養家族がいる場合は、一人につき38万円上限額が上がります。つまり、扶養家族1人のときは、395.4万円になる計算です。
つまり、相当の収入がないと年金はストップしないということです。
仕事に就く際に利用できる制度はいくつかありますが、制度の利用も含めて障害者の一般就労を支援してくれる事業所が何種類かあります。
主なものは、障害者就業・生活支援センターと呼ばれる民間団体が運営する施設で、全国各地に設置が進められています。就職に至るまでのサポートを生活面も含めて支援してくれるところです。そこでは就職先や就職前に行う実習先の開拓、あっせん、実習や就職後の職場訪問等のジョブコーチ支援も行います。
地域障害者職業センターは、各県に設置されている特別行政法人が運営する機関です。ここでは、どのような職業適性があるかの診断をしてくれたり、職業体験ができる模擬会社があったり、ジョブコーチの派遣をしていたりします。障害者職業相談員という専門職が配置されています。
ハローワークには、障害者を支援する窓口がありますので、そちらに相談すると障害者求人情報を教えてくれたり、実習の支援などをしてくれます。
その他、自治体によっては、独自事業として、障害者就労支援センターを設置しているところもあります。
利用できる制度は、障害者全般が利用できる制度と、精神障害者のみが利用できる制度がありますが、主に就職までの準備のため、企業などで働く経験を積むことが意識されており、実際に就職したあとは、障害者を雇った企業にメリットがあるような制度(障害者雇用促進のため)もあります。
まずは、上記の事業所や身近な精神保健福祉士などに相談してみましょう。
ジョブコーチとは、障がいがある方の職場定着を目的に職場訪問などを行う支援者です。
地域障害者職業センター(http://www.jeed.or.jp/jeed/location/loc01.html#03参照)というところが窓口となって、働いている(これから働く)方からの依頼、または雇用している企業からの依頼で、特別な研修を受けたジョブコーチが派遣されます。また障害者就労支援センターや障害者就業・生活支援センターなどの職員も職場訪問などを行いますので、広い意味でジョブコーチと捉えることもできます。
具体的にどのようなことをするかといいますと、事前にご本人と会うことができれば、面接をしていろいろとその人の情報を聞き、どんなことが得意なのか、どんなことが苦手なのか、今困っていることは何かなどを把握した上で、職場を訪問します。そして、職場の上司や担当者、同僚などとの関係調整や、うまくできないことについて原因を分析して、本人に伝えて練習したり、職場の上司に仕事の仕方の変更や配置換えを頼んだりもします。また、必要に応じて一日付き添ったり、連日訪問したりもします。
目的は職場定着ですので、本人だけではなく、会社側からも情報を得て、仕事が長く続くように双方を支援します。
学ぶ
現在、高校3年生でしょうか? または浪人中でしょうか? いずれにしても、その前向きな姿勢は応援したいと思います。
精神科の病気を抱えながらの受験勉強はなかなか大変なようです。副作用による眠気や集中力の欠如などが勉強の持続を妨げる場合があります。また夜間などに無理に勉強することで睡眠時間が短くなると、疲れが取れず、生活リズムも乱れてしまいます。病気とうまく付き合いながら、上手に受験勉強を進めましょう。そのために、主治医との話し合いが欠かせません。薬の加減や勉強と生活リズムについてなど、よく話し合いながら進めるとよいでしょう。また利用している相談機関や施設等がありましたら、ときどき気分転換も兼ねて、訪れてみることをお勧めします。受験勉強へのアドバイスや励ましの言葉をもらえるでしょう。ただ無理は禁物です。自分のペースで計画的に勉強を進めましょう。
もし、中卒か高校を中退した方であれば、高校に再入学したり、高校卒業認定試験から始めることになります。先は長いですが、コツコツ頑張って下さい。
何かに向けて精力を傾けて頑張る経験は、今後の自分にとってきっと財産になるはずです。
精神科の病気によって学校に行けなくなってしまう人は、残念ながら少なくありません。
一見ひきこもりと思われがちですが、病気ではなく学校や社会に適応できず不適応症状としてひきこもりになる人と、精神科の病気のせいで学校に行けない人は違います。精神科の病気の場合、統合失調症の陽性症状である幻聴に支配されたり、被害妄想にとらわれるなどして、外出が思うようにできなくなったりします。また陰性症状によって意欲低下などで外出できなくなることもあります。高校や大学の途中で統合失調症になると、前述のような症状で場合によっては入院治療が必要となり、休学となってしまうことがあります。
ご本人に復学したいという気持ちがあれば、可能性はもちろんあります。入院が長引かなければ、数ヵ月後に復学することができるかもしれません。まずはちゃんと治療を受けること、そして主治医と復学時期についてよく相談することです。さらに何かあったらすぐに相談できる専門職(医療機関の精神保健福祉士、住んでいる地域の担当の保健師さん、相談支援事業所の精神保健福祉士など)とも事前に話しておくことで、問題が起きたときに相談にのってもらうことができます。問題が起きてから相談に行っても、一から話さなければならず、時間がかかってしまいます。
また通っている学校に相談員がいる場合があります。中学、高校でしたらスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどが定期的に来てくれるところもあります。大学でしたら、保健相談センターなどが学内にありますので、そこに相談することができます。通学途中や学内で具合が悪くなった時にどうするかを話し合っておくと良いでしょう。
人生のとても大事な時期に病気になるのはつらいことです。そして、せっかく入った学校を途中でやめなければならなくなるのは、その後の人生にも関わることです。なんとか復学できるのなら、卒業できるよう頑張ってみて下さい。ただし、くれぐれも無理は禁物ですよ。自分の調子をよく主治医と話しながら進めて下さい。
就職や運転のために、資格や免許をとりたいという希望をお持ちの方は多いと思います。特に10代で発病された方など、一般的に周りの人が取得されている普通自動車免許を欲しいという方や中には高校中退のため、高校卒業資格を欲しいという方もいらっしゃいます。
以前は、精神疾患があるということで取得ができなかったり、更新できなかったりする免許や資格もありました。今はすべての資格や免許で、相対的欠格事由といって、その病気が安定していれば取得や更新が可能になっています。ただし、病状が悪化している場合は、免許や資格を一定期間停止するなどの規定になっています。
たとえば運転免許ですが、以前は(厳格な適用はされていませんでしたが)、精神疾患があることで免許の更新ができない条項となっていました。これが2002年6月に改正された道路交通法では、運転免許の取得や更新時に、「免許申請書等の病気の症状等申告欄における申告事項」というアンケートをとるようになり、そこに医師から免許取得や運転を控えるよう助言を受けているかという設問があります。これに○をつけると、「運転適正相談」を受けて医師の診断書を提出することになります。
他の資格等でも、取得に際し条件を付されることはあっても、基本的に取得は可能です。ご自身で目指している資格や免許がありましたら、是非頑張ってチャレンジしてみてください。
精神病を若くして患った方の中には、なかなかパソコンに触れる機会がなく、世間に取り残されたと感じていらっしゃるということもあると思います。中には「パソコンを触ったら壊してしまうのでは」と思っていたり、「もう今さら」、「パソコンなんて高くてどうせ買えないし」と思っている人はいないでしょうか?少なくともこのサイトを見ている人はすでにパソコンを使用しているので、大丈夫ですね。
さて、上記のような方でも、パソコンができるようになりたいと思っていたり、「パソコンがうまくなりたい」と思っているならば、まずお近くの相談支援事業所かお住まいの市町村障害者支援担当課に相談してみてください。相談支援事業所の中には、地域活動支援センターを併設していて、ゆるやかな日中活動を行っているところもあり、そこで初心者向けのパソコン教室を開いている場合があります。中には就労継続支援事業所や就労移行支援事業所でも行っているところもあります。ただし週に一回程度のところが多く、早く上達したいと思う人には物足りないかもしれません。
もちろん、経済的に余裕のある方は一般のパソコンスクールに通うのが手っ取り早いですが、それなりにお金がかかります。市町村によっては、市民向けのパソコン教室を開催しているところもあり、無料や安価で参加できることが多いようです。
ハローワークでも、職業能力開発校の講座として、障害者向けのパソコンスキル向上とビジネスマナーを身につけられる講座などをやっている場合があります。委託訓練事業という制度でも、同じような講座を地域の企業や社会福祉法人、NPO法人に委託してやっているところもあります。これらは一日5時間程度で、毎日やそれに近い日数で3ヵ月程度行うので、かなりの上達が見込めますし、テキスト代程度の出費で講座自体は無料のことが多いです。さらにハローワークの講座では、訓練手当がでる場合もあります。ハローワークに障害者担当窓口がありますので、そちらに相談してみるとよいでしょう。