暮らしに関するQ&A
家事
一人暮らしをしている方の部屋を訪問すると、ゴミを上手に捨てられずに、部屋に溜め込んでいたり、間違った日にゴミを出してしまい、近所から苦情がきたなど相談を受けることがよくあります。生活をするうえで、「ゴミを上手に捨てる」ことは案外大変なことのようです。
「ゴミを上手に捨てられない」背景には、「ゴミの収集時間までに起きられない」、「資源ゴミや不燃物の収集日がわからない」、「ゴミの分別の方法がわからない」などいろいろなことがあるようです。自治体や地域によって分別の方法や資源ごみの種類もまちまちなので、大家さんなどから「ゴミカレンダー」を貰うとよいでしょう。また、インターネットで住んでいる自治体のホームページから検索することもできます。また、自治体の環境センターなどでは、有料で電化製品や家具などの粗大ゴミや引越しなどの際の大量の廃棄物を収集してくれます。
分別の仕方については、ご近所や同じ地区に住む友人と情報交換することもお勧めです。
食事の用意がうまくできなかったり、部屋のかたづけが上手にできない方は、大勢いらっしゃいます。
身体がだるかったり、やる気が起こらなかったり、調理や掃除の方法がわからなかったり、後片づけやゴミ捨てがうまくできないなど、原因や状況はさまざまです。
どうしても自分でできない場合は、ホームヘルプ(居宅介護事業)を利用することができます。
ホームヘルプ(居宅介護)は、障害者総合支援法(旧.障害者自立支援法)で定められている介護給付ですので、利用を希望する場合は、市町村の窓口に申請をして給付決定をうけることが必要です。
申請時に、主治医の診断書の添付や精神障がい者保健福祉手帳の提示をして、障害程度区分の審査を受ける必要がありますが、申請者の状況や希望により、1ヵ月のサービス量や内容(身体介助・家事援助)が決められます。
給付決定を受けた上で、時間帯やサービス内容に応じて居宅介護事業所を選び、ホームヘルプの利用開始となります。
ホームヘルプでは提供できない家事内容もありますので、事業所とよく相談する必要があります。
また、一旦、給付決定を受けても、希望が変わった場合は、申請により変更も可能です。
すべてをヘルパー任せにするのではなく、自分が苦手や不得意な部分を手伝ってもらい、今よりも少しでも、快適に過ごすことができればいいですね。
→詳しくは、障害者総合支援法 居宅介護事業を調べてみてください。また、お住まいの市町村障害者担当窓口、お近くの相談支援事業所、居宅介護事業所等にお問い合わせください。
このことについては、ご本人からだけでなく、ご家族からも相談をうけることがよくあります。実は、部屋が散らかっていてもあまりご本人の困りごとになっておらず、一緒にお住まいのご家族がやきもきされることが多いからではないでしょうか。
めんどうくさがってかたづけようとしないとか、本人にこだわりがあり、なかなか「不用なもの」を捨てない、自室に閉じこもりがちで、自室で飲食したものをかたづけない、居室で喫煙しつづけて吸殻だらけ、やっとかたづけようかと思っても何から手をつけよいかわからないなど、部屋のかたづけをめぐって、家族関係も悪くなってしまうなどさまざまな相談があります。
私は、このようなご相談を受けた時には、支援者がご自宅を訪問し、実際の部屋の状態を確認しながら助言や指導してもらえるサービスをご紹介しています。具体的には、医療機関で実施している訪問看護指導や障害者総合支援法(旧.障害者自立支援法)による居宅介護事業(ホームヘルプサービス)などです。
専門スタッフがご自宅に訪問することで、たちまちに部屋がかたづくわけではないと思いますが、なぜかたづけられないのか、解決方法はないのか、ご本人やご家族と一緒に考えながら、少しずつかたづけを進めていくとよいと思います。また、部屋をかたづけられないことは、ご本人の病状や日中の活動など、ご本人の生活スタイルに深くかかわっていますので、広く生活全般について相談し、考えていくことが大切です。
「食事が不規則」、「好き嫌いが多い」ことや調理が面倒で「ワンパターンな献立」などが原因で食事がかたよっていると言われる方が多いようです。
偏食で一番心配なことは、肥満や脂質異常、鉄分、ビタミンの不足などから、合併症を誘発したり、悪化させたりすることです。
まず、食事は、朝・昼・晩三食きちんと取りましょう。特に、朝食は、一日の活力の源になり、とても大切です。パン食であれば、卵、牛乳、ヨーグルト、果物など、ご飯であれば、具だくさんの味噌汁、豆腐、納豆など、一品でもよいので加えてとりましょう。
また、調理をする時や惣菜を買うときは、できるだけ油物を避け、野菜や大豆製品を購入ように心がけましょう。外食をするときには、麺類、丼類よりは、定食を、お弁当の場合は、幕の内弁当など多くの食材を使ってあるものを選ぶとよいでしょう。
また、塩分、糖類や間食のとりすぎや、コーヒー、ジュースなどの嗜好飲料のとりすぎにも注意が必要だと思われます。
栄養のバランスを考えて食事をとることが大事とわかっていても、実行はなかなか難しいものです。自分ができる簡単な方法でやってみましょう。
自分で食事の準備をしていると、いつも同じものばかり作ってしまったり、何を作るか迷って困ってしまうものです。
そんな時には、こんな方法はどうでしょう?
困ったときのお助けメニューを決めておく。たとえば、カレー、肉じゃが、豚汁、野菜炒め、焼きそば、しょうが焼きなど、同じような材料で調理法や味付けを変えてできるメニューをあらかじめ作っておく。
毎回、自分で作るのではなく、スーパーや惣菜屋で買ってきて、味噌汁だけ作って済ませる手抜きの日をつくる。
冷凍食品を利用したり、冷凍保存した食品を活用する。
友人や支援してくれるスタッフの知恵を借りて工夫してみましょう。
また、糖尿病などの合併症がある方や、コレステロールが高いなどの脂質異常のある方は、献立にも特別の配慮が必要です。
主治医が必要であると判断した場合は、専門家である栄養士の栄養指導を受けることができます。その際には、合併症に配慮した簡単にできる献立の相談できます。
住む
「ひとり暮らし」というと、ご家族から「心配」、「調子を崩す」など反対されたり、ご自身も「本当に大丈夫か不安」、「さびしい」などという声が聞かれます。
たしかに「ひとり暮らし」の実現にはいろいろな要素が必要です。
住まいや生活費の確保ができるか
買い物ができるか
食事の準備ができるか
住まいの掃除ができるか
入浴や更衣、洗濯ができるか
金銭管理ができるか
金融機関や交通機関の利用ができるか
服薬や症状の安定など健康管理ができるか
困ったときに相談できる人がいるか、または、そのような機関があるか
困ったときに相談できるか(本人の姿勢として)
戸締りや火の始末などができるか
危険から身が守れるか
などなど
これらが完璧にできる必要はありませんが、自分のできることと不得意なことを明確にして、不得意なことは助けてもらったり、補ってもらえる制度やサービスを利用することをお勧めします。
また、すぐに、ひとり暮らしが難しい場合には、ひとり暮らしの練習ができるグループホームやケアホームなどの居住支援施設への入居などの段階を踏むのも、自信をつけることになり、家族の不安解消にもつながります。
いずれにしろ「ひとり暮らし」には、たくさんの準備や手続きなどが必要であり、ご自分の力だけでは克服できない課題も山積です。ご家族や主治医や精神保健福祉士など支援者に相談しながらすすめていきましょう。
自立した生活を送りたいと、アパートなどでひとり暮らしを希望する方が、まず第一にぶつかるのが、「誰に保証人になってもらうか」ということです。
ご両親やご兄弟など、保証人になってくださる方が、全くいない場合は、保証人協会などの利用をお勧めすることがあります。民間だけではなく、最近では、NPO法人で保証人となってくれる団体もできてきています。また、まだまだ数は少ないですが、自治体で保証支援の制度を持っているところもあります。
また、根気強く探せば、保証人なしで入居できる物件もあります。保証人制度や入居しやすいアパートなどの情報は、精神保健福祉士等が持っていることも多いので、相談してみてはどうでしょうか。
しかし、保証人となり得るご親族がいらっしゃる場合でも、病状の悪化やトラブル発生などの不安から、ひとり暮らしを反対し、保証人になっていただけないことも多く、精神保健福祉士は、このようなご相談を受けることが多くあります。私は、ご親族にご理解いただいて、保証人になっていただき、ひとり暮らしを応援していただくのがベストと考え、ご相談をお受けしています。安易に保証人協会等をご紹介するのではなく、ご本人の希望や生活力をお伝えし、加えて、ご親族のご心配や不安を伺いながら、それを補う在宅支援のサービスの導入を図ることで、保証人になっていただけるよう話し合いを重ねて、調整を図っています。
現在お住まいの部屋の環境の悪さとは、どんなことでしょうか?
「日当たりがわるい」、「すきま風で寒い」、「湿気がひどい」など建物自体の問題や、「電車や車の騒音がうるさい」、「通院先や職場までのアクセスが悪い」など立地の問題もあるかもしれませんね。
ただ新しい部屋に引越しすることは、そんなに簡単なことではありません。ご自分の希望に応じた物件探しや保証人のお願い、引越しの手配など、いろいろ労力がかかるものです。物件探しでは、自分の希望をはっきりさせたうえで、不動産屋さんを回ったり、友達などからも情報をもらい、自分の目で確かめて、自分の生活スタイルに合わせて納得できるものをさがしましょう。また、最近では、家賃の支払いの滞りがないよう、契約者本人だけでなく保証人の調査が厳しくなってきている傾向があります。
また、なにより大変なのは、引越しに係る費用の準備でしょう。敷金・礼金に加えて、入居月の家賃も入居時に支払いますので、自分で蓄える必要があります。
なお、生活保護を受給している場合は、担当福祉事務所によっては、支給限度額内の家賃であっても、前の部屋よりも高額になる場合は、明確な引越し理由を伝えて、認めてもらう必要があります。
いづれにしても、引越しについては、自分ひとりで決めるのではなく、支援スタッフやご家族、友人などに相談し、協力をもらいながらすすめていくのがよいでしょう。
グループホームとは、障害者総合支援法(旧.障害者自立支援法)の共同生活援助という事業で、知的障害や精神障害をお持ちの方が入居することができ、日常生活の支援をおこなってくれる居住支援施設です。全国で、約19,000人の方が入居し、精神障害をお持ちの方は、そのうち45%を占めるといわれています(平成20年6月時点)。グループホームには、世話人という職員が配置されており、相談や食事・服薬・金銭管理など日常生活上の支援がおこなわれます。
入居を希望される場合は、市町村の障害福祉担当課に入居申請をし、日常生活状況の調査を受け、給付決定がされますが、それぞれのグループホームでの、入居の審査後、契約を結びます。費用は、食費・入居料と福祉サービスの一割負担(低所得者には減免あり)などが、必要になります。
実際には、受け入れが可能かどうか、共同生活の仕方など、グループホームによってまちまちです。グループホームは、原則夜間の支援となりますので、日中の活動や過ごし方も考慮して入居を考える必要があります。まずは、お近くの相談支援事業所に相談して、自分がどのように暮らしたいのか、どのような生活支援が必要なのかを明確にして、グループホームの入居を考え、一緒に手続きをしていくことをお勧めします。
お金
多分使いすぎてしまい困っているということですね。今あなたは、どのくらいの収入があるのでしょうか?
そして生きるために必要なお金はいくらぐらいかかるでしょうか?生きるために必要なお金とは、家賃、電気代、水道代、ガス代などの住居にかかるお金と食費です。このうち、主に食費がうまく管理できない人が多いようです。またその他の出費として、電話代、衣服やアクセサリー、化粧品などの身につける物の購入などがあげられるでしょう。またタバコやお酒などの嗜好品、パチンコや競馬などのギャンブル、中には風俗店などで浪費してしまう人もいます。
では、どうしたら生活費をうまく使えるでしょうか?それは、まず自分自身がどのような性格かを考えてみて下さい。几帳面な性格であれば、家計簿をつけることでどうすれば生活費をコントロールできるかわかってくるでしょう。しかし、几帳面でない人が家計簿をつけても、数日書かなかったり、レシートを捨ててしまったりして、家計簿と現金がいつも合わなくなってしまいます。自分には家計簿をつける几帳面さがないと思う人は、別の方法を考えましょう。お金が入ったときに、使い道を分けて別の封筒に入れてしまうのもひとつの方法です。どうしてもうまくいかない人は、思い切って身近な人に管理してもらうことも場合によっては必要です。身近にそういう人がいない場合は、制度を使うこともできます。
お住まいの区市町村の社会福祉協議会では、障がいのある人で生活費がうまく使えない方の相談や金銭管理を行ってくれる「日常生活自立支援事業(以前使われていた地域福祉権利擁護事業という言い方をそのまま使っているところもあります)」を行っています。この事業を利用すると、通帳の管理や生活費の使い方などを担当の相談員が支援してくれます。ただ、制度の利用には少額ですが、利用料がかかる場合がありますので、まずは社会福祉協議会にご相談下さい。
生活していくのがやっととか、もう貯金がなくなってしまいそうという人だけではなく、仕事はしているが、入院することになり医療費が払えないという人も、生活保護受給の可能性はあります。
まず遠慮せず、福祉事務所(役所の中で、生活福祉課や保護課などという部署が生活保護業務を担っていますが、役所によって名称が違います)に相談に行くことです。
相談担当のケースワーカーが話しを聞いてくれます。そして、経済状況をいろいろ聞いてきますので、預金通帳があれば持参するとよいでしょう。
福祉事務所は収入と貯蓄等を調べ、現金化できるもの(生命保険の解約、貴金属、宝石、車など)は換金して生活費に当てることを求めます。
そして、生活保護基準以下の所持金になった時点で生活保護受給開始となります。
車やバイクは、必要と認められた場合を除き、所持は許されません。
福祉事務所に行くのが怖いとか不安がある方は、近くの相談支援センターやかかりつけの医療機関にいる精神保健福祉士にご相談になるとよいでしょう。
障害年金は、国民年金と厚生年金、共済年金の3つに制度が分かれています。
障害年金を申請しようと考えている病気については、初めて医療機関にかかった日(初診日といいます)に公務員だった人は共済年金で、企業で働いていた人(厚生年金加入者)は厚生年金で、自営業もしくは無職で国民年金加入者だった人は国民年金で申請することになります。
ただし、初診日以前に年金を1年以上継続して納めていたかなどの条件が満たされないと、障害年金の受給ができません。(20歳未満に初診日がある場合は、年金加入していなくても受給資格があります)。
受給資格を満たしていても、現在の状態が障害年金を受給するのに該当する障がいの状態であるかどうかが審査のポイントになります。
それは主治医の診断書(受診状況等証明書)と、ご自身または代理人が記入する病歴・就労状況等申立書の内容から判断されます。
申請をお考えであれば、まず、初診日はいつごろ、どこの病院だったかを思い出して下さい。人によっては、精神科でなく、内科で睡眠薬をもらったのが初診日かもしれません。
そして申請にあたっては、詳しく教えてくれる専門家に相談されるとよいでしょう。
障害年金の申請には、いろいろな書類を揃えたり、少し記入漏れがあるだけで、受理されなかったり、主治医へ依頼するものや自分で記入する書類もあり、なかなか一人ですべてをやるのは大変です。一番頼りになるのが、いま通院している医療機関にいる精神保健福祉士(PSW)です。
もし、通院先にその人がいない場合は、お住まいの市町村が委託している相談支援事業所(地域生活支援センター、相談支援センターなど)に相談されてみるとよいでしょう。
もし、その品物を買ってから8日以内であれば、クーリングオフ制度によって、返品できる可能性があります。まずはもよりの消費生活センターに相談するか、消費者ホットライン(0570-064-370)に相談してみましょう。
また訪問販売以外にも、電話での勧誘や、高額な取り引き等には、クーリングオフ制度が適用になる場合があります。
最近では、インターネット上でも契約した覚えがないのに、クリックしただけで請求書画面になるなどの詐欺が報告されているようです。
そのような場合でもあわてて料金を振り込んだりせず、消費者生活センター等に相談してください。
訪問販売や新聞勧誘などをなかなか断れない人の場合、今後も同じようなことが起こる可能性がありますので、事前に対策を立てておくとよいでしょう。
例えば、必ず来訪者が誰なのかを確認してからドアを開けるようにして、知り合いでなければ決して開けないなどです。通院先の精神保健福祉士や相談支援事業所の相談員などと、実際の場面を想定して、断る練習をするのもよいでしょう。
どの程度の金額をどこから借金しているのかによって、対策が変わってきます。家族や身近な人から借金している場合は、どのように返していくかを相手と冷静に相談して下さい。
いつまでに、毎月どのくらいずつなら無理がないか、またどのような方法でなら確実に返済できるかなどを話し合いましょう。
金融機関からの借入金の場合、返済期限までに返済の目途が経たない場合、早めに専門の相談機関に相談することが大切です。間違っても、更なる借金で返済しようとしないことです。
事態がさらに深刻になってしまいます。
すでにいわゆるマチ金、ヤミ金と言われる法外な利子で返済を要求するところから借り入れしている場合は、急いで相談するようにしましょう。
残念ながら、精神科の病気があると一般の医療保険等に加入できないのが現状です。私も以前、保険会社に連絡をとって、精神疾患については保険適用にならなくてもよいが、身体的な疾患は適用になる保険はできないものか?と尋ねたことがありました。その時の返答は、精神疾患のある人は薬を多量に飲んでおり、肝臓疾患を起こす可能性が高い、生活習慣の乱れから糖尿病などになる危険性が高い、自殺率が高いなどの理由から難しいとの返答でした。
ただ、保険会社によっては、引受基準緩和型という保険で、健康に不安のある人でも、医師の診断書なく加入できる保険があります。その加入条件は、現在入院中であったり、過去3カ月以内に入院を勧められていないか、過去2年間に2週間以上入院していて現在も通院していないか、ガン、脳疾患、心臓疾患で医師の診察を受けたことがあるかなどの項目について、それらに該当しなければ加入できるというものです。ただ、加入以前にかかっている疾病は保険対象外になったり、加入可能年齢や保険期間に制限があるようです。
精神疾患に限らず、他の身体疾患でも同じような悩みを持っている人は多く、保険会社も最近になって、糖尿病の方向けの保険など、新たな保険を売り出しているところもあります。現在、精神科で出されるお薬が肝臓疾患に影響を与えることはほとんどないと言われており、精神疾患があっても加入できる保険が増えることを期待します。
使えるサービス
障害者総合支援法(旧.障害者自立支援法)の障害福祉サービスには、「介護給付」と「訓練等給付」があります。
また、市町村が行うサービスには「地域生活支援事業」があります。
「介護給付」のホームヘルプサービスは、在宅で入浴、排せつ、食事の介護を受けるサービスです。ショートステイは、在宅で介護する人が病気の場合などに、短期間施設に入所して介護を受けることができます。
「訓練等給付」の自立訓練では、自立した日常生活や社会生活ができるための訓練を行い、就労移行支援では、就労に必要な知識や能力の向上を目指した訓練を行います。
「介護」や「訓練」という言葉が使われていますが、私たちが日常的に使う言葉のイメージとは少し違います。ホームヘルプサービスでは、生活する力をつけるために、ホームヘルパーに料理の仕方や部屋の片付け方を教わることができます。就労移行支援は、仕事を続けていくために必要な知識を学ぶ場所と考えたほうがいいでしょう。
市町村の「地域生活支援事業」では、市町村が委託している相談支援事業所に相談することや地域活動支援センターを利用することができます。
詳しいサービスの内容や利用方法は、市町村の障害福祉の担当窓口や、市町村が委託している相談支援事業所にお尋ねください。
介護給付 | A | ホームヘルプ |
---|---|---|
A | 重度訪問介護 | |
A | 行動援護 | |
A | 児童デイサービス | |
A | ショートステイ | |
B | 重度障害者等包括支援 | |
B | 療養援護 | |
B | 生活介護 | |
C | ケアホーム | |
C | 夜間ケア |
訓練等給付 | B | 自立訓練 |
---|---|---|
B | 就労移行支援 | |
B | 就労継続支援 | |
C | グループホーム |
A…訪問・通所系
B…日中活動
C…居住支援
地域生活支援事業 | 利用者の相談支援 |
---|---|
手話通訳などのコミュニケーション支援 | |
日常生活用具の給付・貸与 | |
移動支援 | |
地域活動支援センターの機能強化 | |
福祉ホーム | |
居住支援 | |
生活介護 | |
その他の日常生活または社会生活支援 |
地域活動支援センターは、市町村の地域生活支援事業の1つです。地域活動支援センターは、自立した日常生活や社会生活を営むことができるために、創作的活動や生産活動を行ったり、社会との交流を図ったりするところと規定されていますが、実際の活動はそれぞれの地域活動支援センターで異なっています。
日常生活の相談ができるところ、生活上の支援をしてくれるところ(食事の提供などもあります)、仲間づくりができるところ、サークル活動ができるところ、就労支援をしてくれるところ、困った時に駆け込めるところ、ピアサポート(仲間同士の支援)をしているところ、地域貢献やボランティア活動ができるところなどさまざまです。
ひきこもりがちな人のはじめの一歩の場所であったり、サービスを使っている人の交流の場であったり、仕事をしている人の余暇活動の場であったりします。皆さんいろいろな目的で利用しています。安心できる自由な場所で、仲間をつくり、自信を回復して、自分の生き方を再発見してみてはいかがでしょうか。
このように、地域活動支援センターは、事業所によってそれぞれ特徴があります。まずは、市町村の障害福祉の担当窓口か、市町村の委託相談支援事業所にお尋ねください。
ホームヘルプサービスとは、障害者総合支援法(旧.障害者自立支援法)の「居宅介護等事業」のことです。皆さんのご希望に合わせて、入浴、排泄、衣類の着脱、食事の介護、身体の清拭、洗髪、通院の介助、調理、衣類の洗濯・補修、掃除・整理整頓、必需品の買物等の家事、生活等に関する相談及び助言など、生活全般にわたる援助を受けることができます。障害程度区分1以上で、支援を必要とする人が利用できます。
ヘルパーさんが、皆さんの家を訪問することになりますので、少し抵抗を感じるかもしれません。しかし、安心して生活するため、命を守り、暮らしを維持し、ご自分にあった生き方をしていくためのサポートと考えてみてはいかがでしょうか。
統合失調症となってから、順序立てて物事を組み立てるのが苦手になった人はいませんか? 洗濯をすること、掃除をすること、料理をすること、片づけることなどは、なにかと段取りが必要なため、家事に追われて疲れてしまうこともあるでしょう。できないことを、手伝ってもらうことは甘えではありません。ヘルパーさんに段取りを教わったり、自分でもできそうなことを相談しながら挑戦してみたりすることもいいことだと思います。
皆さんの悩みとなる家事全般で苦手なことは、ヘルパーさんに手伝ってもらいましょう。そのうえで、皆さんが自分の生活を豊かにしたいと思っていること、以前からやってみたいと思っていたこと、自分の持ち味を生かせることなどに、力を注いでみましょう。
まずは、市町村の障害福祉担当の窓口、市町村の委託相談支援事業所にお尋ねください。
精神科の医療機関行われているデイケアでは、再発や再入院の予防や、皆さんのご希望にそった社会参加をすすめるためのリハビリテーショを行っています。
統合失調症を治療して病気は回復に向かっているのだけれど、「朝起きるのがつらい」「意欲がわかない」「人とつきあうのが苦手になった」「疲れやすい」「不安や緊張が強い」「どうも段取りがうまくいかない」「仕事に戻る自信がない」といったことで悩んだり、困ったりしていませんか。
デイケアでは、皆さん一人ひとりの状況に合わせて、生活リズムの獲得、体力づくり、協調性や自主性の回復、ストレス状況への対応、就労前準備などを行って、皆さんの生活の安定や、目標にそった支援を行っています。
プログラムは、デイケアによって異なりますが、スポーツ、レクリエーション、サークル活動、料理づくり、パソコン教室、手工芸、音楽活動などが行われています。意欲や協調性、自主性の回復、獲得を目的としています。また、社会生活や日常生活の技能、疾病の自己管理を高めるために認知行動療法としての生活技能訓練(SST=Social Skills Training)が取り入れられているデイケアもあります。
なお、1日6時間を標準としたものをデイケア、午後4時以後で4時間を標準としたものをナイトケア、そのデイケアとナイトケアを組み合わせた10時間を標準としたデイナイトケア、日中3時間のものをショートケアと呼んでいます。
利用にあたっては主治医に相談してください。また、ご自分の通院している医療機関にデイケアがない場合などは、通院先の医療機関、市町村の障害福祉担当窓口、保健センター、市町村の委託相談支援事業所にお尋ねください。
就労支援のサービスには、「就職に向けた相談」、「就職向けた準備・訓練」、「就職にむけて利用できる制度」があります。
「就職に向けた相談」は、障害者就業・生活支援センター、ハローワーク、市町村障害福祉担当課、相談支援事所、地域障害者職業センター等が窓口となっています。
「就職に向けた準備・訓練」には、地域障害者職業センター、就労移行支援事業者、障害者職業能力開発校等があります。
「就労に向けた利用できる制度」には、障害者試行雇用(トライアル雇用)事業、職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業等があります。
しかし、実際サービスを利用するとなると、「私の場合は、就職に向けてどこで相談すればいいのかな」、「どんな機関で準備や訓練をすればいいのかな」、「どんな制度を利用するといいのかな」と迷ってしまうこともあると思います。そのようなときは、まずは、市町村障害福祉担当課、市町村の委託相談支援事所、障害者就業・生活支援センター等でご相談ください。まずは、情報を得て、自分なりの就職に向けたプランをつくることをおすすめします。
全国の障害者就業・生活支援センター
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/shougaisha/index.html
相談支援事業者 ・・・市町村にお問い合わせください。
全国の地域障害者職業センター
http://www.jeed.or.jp/location/chiiki/index.html
相談支援事業者 ・・・市町村にお問い合わせください。
このほか、事業主向けの支援として、特定求職者雇用開発助成金などもあります。働くことのいろいろな疑問は、この地域で暮らす疑問解決Q&Aの「働く・学ぶ」のコーナーをご覧ください。
皆さんは、困った時にどなたに相談をしていますか。ご家族と同居している場合は、家族に相談することも多いと思います。皆さんの多くは、気軽に相談できる仲間や友人がほしいのかもしれませんね。統合失調症になる前からの友人、病気や障害についてわかちあえる友人は、いつでも皆さんの相談に乗ってくれることでしょう。友人がほしい人は、このコーナーの「友人や恋人がほしい」を参考にしてください。
さて、実際には、困った時に相談できる人、相談できる機関はいろいろあります。 医療機関を初めて利用する時や、変更したい時、もう少し上手に利用したいといった時の相談は、都道府県の保健所や市町村保健センターの保健師、精神保健福祉士と相談することができます。精神科医師による相談日を設けているところがあります。
病気や治療、生活のしかた、社会福祉制度の利用に関することは、もちろん、現在、利用している医療機関の主治医、看護師、精神保健福祉士などに相談することができます。
急に調子が悪くなった場合の相談窓口を決めておくといいですね。まずは、主治医への連絡となりますが、都道府県によっては、夜間・休日の窓口として精神科救急情報センターを設置しています。
障害福祉サービスを利用している皆さんは、そのサービス事業所の職員の皆さんにも相談することができます。
他にも、相談内容に合わせて専門の機関を利用することができます。就労に関すること、年金に関すること、財産に関することなどもあるでしょう。どこに何を相談すればいいのか迷ってしまったら、市町村の障害福祉の担当窓口か市町村が委託をしている相談支援事業所をおたずねください。
ご家族以外にも相談ができる人ができると、気持ちにゆとりが出てくると思います。
相談支援事業所は、都道府県の指定をうけて、皆さんが障害福祉サービスを利用するための、サービス利用計画を作成、利用の調整、定期的なモニタリング(計画の見直し)を行う機関です。
市町村は、相談事業として、障害者の福祉に関する相談に応じて必要な情報を提供して助言を行うことになっていますが、この役割を相談支援事業者に委託することができます。このため、市町村と相談支援事業所は連携して、障害者の相談支援を行っています。
相談支援事業所は、日常生活上の相談、福祉サービスの利用相談、生活力を高めるための相談、就労の相談、住居の相談、権利擁護の相談、ピアカウンセリングなど気軽に相談ができます。
「すまいるナビゲーター」に掲載されていることについても、詳しく相談したい場合は、相談支援事業所をご利用ください。
市町村が委託している相談支援事業所については、市町村の障害福祉の担当窓口にお尋ねください。
精神障害者保健福祉手帳は、1995(平成7)年に、精神障害者の皆さんの自立と社会復帰・社会参加を図ることを目的として創設されました。平成21年度末では、544,314人が精神障害者保健福祉手帳を所持しています。平成17年度末に比べて、手帳の所持者は約22万人増えています。
手帳を所持することにより各種のサービスや優遇措置が受けられます。福祉サービスの内容は自治体によって異なります。詳しいことは、この『地域で暮らす疑問解決Q&A』の「精神障害者保健福祉手帳で使えるサービスには何がありますか?」を参照してください。
一方で、私たちの社会は、未だ知らないことによる偏見が残っていることや、精神障害があることで、資格の取得に際して障害の程度や職務等の困難性などによって「欠格」であるかどうかを裁量で決めるといった相対的欠格事由という課題を残しています。
このような状況も踏まえながらも、精神障害者保健福祉手帳の所持については、皆さんが統合失調症になったことで、日常生活上のいくつかで不自由があるとすれば、社会生活をより送りやすくするため、より充実させていくための権利なんだという視点で考えてみてください。詳細については、市町村の障害福祉担当課、市町村の委託相談支援事業所をお尋ねください。
精神障害者保健福祉手帳は、障害がある人の自立と社会参加をすすめることを目的として1995(平成7)年にできました。手帳に基づく優遇措置には、①障害者総合支援法(旧.障害者自立支援法)の福祉サービスの利用、②生活保護の障害者加算、③税制の優遇措置、④都道府県・市町村による優遇措置、⑤民間事業体による優遇措置があります。
税制の優遇措置には、所得税や住民税の控除等があります。都道府県・市町村の優遇措置には、自治体交通機関の運賃減免、公共施設の利用料減免、公共住宅への入居優先などがありますが、自治体間によって、適用範囲についての地域格差が生じています。また、民間事業体の優遇措置には、NTT番号案内料金の免除、NHK受信料の免除があり、一部では携帯電話料金・映画館の入場料金などの割引制度が行われています。地域によっては、路線バス運賃の割引制度も利用できるところもあります。加えて、2006年から、精神障害者保健福祉手帳の所持者が法定雇用率の対象となりました。
しかし、身体障害者手帳や知的障害者の療育手帳と異なり、JR運賃、航空運賃、NEXCO管轄の高速道路運賃の割引等の優遇措置は行われていません。
精神障害者保健福祉手帳についての詳しい内容は、このホームページ「すまいるナビゲーター」の「活用できる社会資源や制度・自立を支援する制度」をご覧ください。
自治体の優遇措置は地域によって行われている内容が異なりますので、市町村の障害福祉担当窓口や、市町村の委託相談支援事業所にお尋ねください。